【短編】素直じゃない
「よし、じゃあはじめに……智樹に誕生日を聞いてこよう!」
「何で?」
「あんたは、智樹の前だともっと素直じゃなくなって意地っ張りになるから、会話してなれるの!ほら、行って来い!ちゃんと話すんだよ?」
トンッと背中を押されて、仕方なく智樹の所へ向かう。
誕生日いつ?
誕生日いつ?
何度も繰り返す質問。
たかが誕生日聞くだけなのに、何でこんなに緊張してるのよ!
ゆっくり深呼吸をして、智樹の前に立った。
「あれ?素直じゃない直。どうした?」
「う、…」
おっとっと。
危ない危ない。
危うくうるさいって言う所だった。
「うん。あのさ、…た、た」
「た?」
あーもう!
「誕生日いつ?!」
「誕生日?」
智樹が不思議そうな顔でこっちを見ていた。
あれ?今あたし噛んだ?
いや、ちゃんと言ったよね?
心配になって智樹を見ると、口が動いた。