【短編】素直じゃない
「今日だけど。誕生日」
「今日!?」
嘘ッ!
なんてタイミングなの?
もしもう少し前に知ってたら、プレゼント買ったのにッ!!
「直ー直さーん」
自分の世界に入っていると、智樹があたしの顔の前で手をブンブン振っていた。
「あ、おめでとう」
「サンキュー。でも急に何?」
「え、いや…―――」
チラッと彩音のほうを見ると、ニヤニヤしながらガッツポーズしていた。
何のガッツポーズだ!と思ってたら、
「直は?誕生日いつ?」
と話しかけられた。
「なっ!」
おっとっと。
危ない危ない。
また、何であんたに教えなきゃいけないの!とか言いそうになった。
気をつけなくちゃ。
「えっと…あ、明日」
黒板に書いてある日にちを見て気づいた。
そういえば、明日あたし誕生日だ…
自分でも忘れてた。