【短編】素直じゃない



「智樹?」


謝ろうと、顔をそむけたほうに歩いていくとドンッと軽い力で押された。


「くんな」


「え?」


「くんな」


低く怖い声だった。


こんな声聞いたこと無い。


てか何であたしが怒られてるの?


「智樹!」


「あっち行けっていってんだろ?」


ブチッ


何かがあたしの中で切れた。


「何で怒ってんの?」


「怒ってねーよ」


「怒ってんじゃん!何かあたしした?」


「いーからあっち行けよ!」


何でこんな急に拒絶するの?


さっきまで普通に話してくれてたのに。


何で……


「もういい。分かった。なんかごめんね怒らせて」


あたしは切れてた智樹を置いて、彩音のところに戻った。


「あれ?もう戻ってきたの?」


「うん」


彩音があたしの顔を見て、心配そうに


「何かあった?」


と言った。
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