【短編】素直じゃない
「ううん、なんでもない」
彩音にそれだけ言って、机に突っ伏した。
智樹のバカッ!アホ!
……バカ。
「…直」
上から智樹の声が聞こえてきたけど、無視した。
さっきあんなに拒否ってたくせに、何でくんの?
「…直、話がある」
「あたしはない」
机に顔を伏せたまま言うと、無理やり顔を上げられた。
「お願い、俺の話聞いて?」
あまりにも真剣な顔をして言うから、あたしは静かに頷いた。
話ってなんだろう。
もし何かひどいこと言われたら、あたし立ち直れないよ。
「ここだと話しにくいから、屋上行こう」
「うん」
返事をして、二人で屋上に向かう。
「あのさ」
屋上について、先に口を開いたのは智樹だった。
「何?」
「さっきはごめん。俺別に怒ったわけじゃないんだ」
「……じゃ、何?」
怒ってないなら、さっきの態度は?
何だったの?