【短編】素直じゃない
「その……」
智樹は顔を赤くして、頭をポリポリと搔いた。
「何?」
「……照れ隠しだよ!」
「は?」
照れ隠し?
さっきのあの態度が?
ちょ、全然分かんない。
てか大体どこに照れる要素があったの?
「お前が、笑うから」
「へ?」
あたしが笑う?
「お前笑っただろ。俺がお前におばさーんて言った後、俺も…「あー!」
あれか。
智樹の天然さに笑ったやつだ!
「その時、お前の笑ってるところ見て、可愛いって思って」
「えッ!?」
今なんて…
「だからその…俺それで照れてたの!」
あたしの笑顔見て照れてたの?
でもなんで……
不思議に思って智樹を見ると、あたしの考えてることが分かったのか静かに
「…直が好きだ」
って言った。