【短編】素直じゃない
”直が好き、直が好き、直が好き”
頭の中でその言葉だけがぐるぐると駆け回っていた。
嘘だよ、絶対。
からかってるだけだよ。
「直、直は?俺のことどう思ってる?」
どうってそんなの…
好きに決まってる。
ずっと前から智樹のこと好き。
「直?」
智樹が不安そうな顔であたしを見ている。
ほら早く言わないと!
あたしも好きって、ほら!
「あ、えっと……「キャハハハハ」
あたしが気持ちを伝えようとしたら、ギャル達が屋上にやってきた。
「何あれ?告白?」
「まぢでーちょーうける」
「なんて答えるのかな?ちょっと見ようよ」
「てか静かにしないと声聞こえちゃうよ」
もう聞こえてますが。
こんな状況で告白の返事なんか出来ないよ。
でも智樹をこのまま待たせるわけにもいかないし。
「あのね、あたし……」
ほら、言え!
頑張れあたし!