【短編】素直じゃない
「智樹のこと……」
ここでまた邪魔が入った。
ギャル1号が「でもあの男微妙だよね」
と言ったのだ。
今度はさっきよりも小さい声だったので、きっと智樹には聞こえてないと思う。
だからあたしは素直に自分の気持ちを伝えればよかったのに。
やっぱり性格が邪魔をした。
「……智樹のこと、好きじゃない」
「……そう」
ってあたし何言ってんの!?
好きじゃないなんて嘘。
むしろ好きすぎてやばいぐらい。
なのに……
「なんかごめんな、告白して」
「あ、いや……」
あたし何やってんの?
今言わないと絶対後悔するよ!!
「じゃ、」
智樹はあたしの顔を一切見ることなく、屋上を出て行った。
何やってんのよ、あたし。
バカじゃないの?
折角智樹が告白してくれたのに。
それを勝手に断ったのに、傷ついて泣いてるって意味分かんない。