【短編】素直じゃない



「智樹のこと……」


ここでまた邪魔が入った。


ギャル1号が「でもあの男微妙だよね」


と言ったのだ。


今度はさっきよりも小さい声だったので、きっと智樹には聞こえてないと思う。


だからあたしは素直に自分の気持ちを伝えればよかったのに。


やっぱり性格が邪魔をした。


「……智樹のこと、好きじゃない」


「……そう」


ってあたし何言ってんの!?


好きじゃないなんて嘘。


むしろ好きすぎてやばいぐらい。


なのに……


「なんかごめんな、告白して」


「あ、いや……」


あたし何やってんの?


今言わないと絶対後悔するよ!!


「じゃ、」


智樹はあたしの顔を一切見ることなく、屋上を出て行った。


何やってんのよ、あたし。


バカじゃないの?


折角智樹が告白してくれたのに。


それを勝手に断ったのに、傷ついて泣いてるって意味分かんない。
< 9 / 16 >

この作品をシェア

pagetop