~First~
「あ、そーいえばお前モデルやってるんだってなぁ!」
「え?うん、でもなんで……」
先生の手には、あたしが出ている雑誌の最新号が…。
「わざわざ買ってくれたの?」
「生徒の事は、ちゃんと知っておきたいからなー」
先生……
どこまであたしをときめかすの
「でもな、買ったはいいものの、お前が見つからないんだよ!」
「えー?あたしこれだよ?」
あたしは表紙を指さした
「え?これ、黒羽?」
先生は目をまんまるにした
予想どおりの反応だった
「化粧の力ってすごいよね」
「へぇ……ほんとにすげーな。……でも俺は、学校の黒羽のがいいな」
なんだか、学校のあたしが好きって言われてるみたいで あたしは1人で赤面した
「あたしさぁ……モデル辞めよっかなと思って」
これは、本気で考えていた事だった
友達関係が崩れるなら、あたしはモデルを辞めようってあたしは前から考えてた
キーンコーンカーンコーン
「お。喋ってると時間が過ぎるのがはやいなー」
それもまた、あたしと喋ってると楽しいって事?
あたし、勘違いしちゃうから、やめて。
「あたしは愛美まつね、遅れるかも」
「サボんなよ?」
「分かってるよ」
先生は重たいドアを軽々と開け、見えなくなった