王子様の秘密-上-
「あれ、陽菜?
帰らないの?」
私の親友…深川 栞が不思議そうに聞いてきた。
「あっ、うん…
ごめん、先帰ってて良いよ」
「うん、分かった。
何かあったの?
朝から浮かない顔して」
「ううん、何でも…」
ちょうどそんな会話をしていたときだった。
「あ、いたいた。
桜木さーん」
「つ、椿谷君!?」
彼が私の名前を呼んだだけで、教室中に私の存在が広まる。
「探したよ。
もう大丈夫?」
「あ、うん!!」
すっかり下校モードの椿谷君は、自分の鞄を持って、私の方へやってきた。
周りからはざわざわとした、大きなどよめきが起こる。
「陽菜…椿谷君と仲良いんだっけ?」
栞が驚いたように聞いてきた。
違うよ、居候させてもらうの。
…なんて言えるわけがない!!
私いるこの教室にも、椿谷君ファンなんていっぱいいるわけで…
敵になんて回したら、学校にいれなくなる…
恐るべし、椿谷君パワー。
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