王子様の秘密-上-



「あれ、陽菜?
帰らないの?」



私の親友…深川 栞が不思議そうに聞いてきた。



「あっ、うん…
ごめん、先帰ってて良いよ」

「うん、分かった。
何かあったの?
朝から浮かない顔して」

「ううん、何でも…」



ちょうどそんな会話をしていたときだった。



「あ、いたいた。
桜木さーん」

「つ、椿谷君!?」



彼が私の名前を呼んだだけで、教室中に私の存在が広まる。



「探したよ。
もう大丈夫?」

「あ、うん!!」



すっかり下校モードの椿谷君は、自分の鞄を持って、私の方へやってきた。

周りからはざわざわとした、大きなどよめきが起こる。



「陽菜…椿谷君と仲良いんだっけ?」



栞が驚いたように聞いてきた。


違うよ、居候させてもらうの。

…なんて言えるわけがない!!


私いるこの教室にも、椿谷君ファンなんていっぱいいるわけで…

敵になんて回したら、学校にいれなくなる…


恐るべし、椿谷君パワー。



,
< 10 / 175 >

この作品をシェア

pagetop