王子様の秘密-上-
「…成弥ぃ~♪」
「きゃーっ、がんばってぇ!!」
「かっこいい~!!」
うっぜぇ…!!
なんでアイツらいるんだよ!!
観客席には、恭平と賢、廉の姿があった。
それに気付いた拓哉。
「恭平じゃん」
「アイツらに言った覚えねぇんだけど…」
拓哉は同中だから、恭平を知っている。
同中じゃない賢と廉は初対面だろう。
「あっ、あの子…」
は?
“あの子”?
ドリブルしながら拓哉を見ると、拓哉は何かをガン見していた。
「…すっげぇ、かわいい…」
よそ見をせず、ガン見したまま、ぽつりと呟いた拓哉。
「どれだけガン見して…………は!?なんで陽菜が?」
「えっ、成弥の知り合い!?
彼女!?」
「まさか…」
おいっ…なんでいるんだよ。
聞いてねぇぞ!!
さっき見たときは、恭平と賢と廉しかいなかったはずだ…
今は、笑顔の恭平の隣に控えめに座る陽菜の姿が…
気にくわねぇ…
「拓哉」
「へ?」
「次、陽菜のこと見たら、俺ばっくれるわ」
「はぁ!?なんで!?
それだけは勘弁してくれよ!!
成弥に懸かってるも同然なんだぜ!?」
「…お前、陽菜に目奪われてたら、安々ボール取られて負けるぞ」
「…そりゃ…そうだけど!!
仕方ねぇじゃん、かわいいんだし!!」
あー…殴りてぇ。
「痛っ!?
至近距離でそんな力でパスすんなよ!!」
「…あ、悪ぃ」
「成弥、おまっ…
反省してねぇだろーっ」
するかよ、バカ。
拓哉でも、陽菜に色目使ったら、ぶん殴ってやるよ。
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