王子様の秘密-上-
「ちょっと悪ぃ」
「はっ?
成弥どこい…」
俺はアップを抜けて、アイツらのいる観客席の下に来た。
周り、うるせぇよ…
俺が睨むと、さらに黄色い声が増した気がした。
「なになに、成弥君?
アップ抜けだしちゃって」
「殴りてぇ…」
「え?
聞こえなかった、なに?」
恭平…
調子に乗りやがって…
まじ殴りてぇ…
「おい、陽菜」
「へっ?
私ですか!?」
「お前は帰れ」
「…やだよ」
はぁ?
陽菜いると調子狂うんだよ…
拓哉、いや…
俺が。
「今すぐ帰れ!!」
「やだもんっ!!」
「ジャマなんだよ」
「ジャマしに来たんだもん!!」
…あ゙?
今、何て言った、コイツ。
“ジャマしに来た”?
……上等じゃねぇか。
かわいくがんばれも言えねぇ奴が…
帰ったら覚えてろ!!
容赦しねぇ!!
のこのこと恭平について来…
は?
まだ懲りてねぇのかよ…
呆れと怒りの混じったため息をついて、俺はアップに戻ろうとした。
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