王子様の秘密-上-





「ちょっと悪ぃ」

「はっ?
成弥どこい…」



俺はアップを抜けて、アイツらのいる観客席の下に来た。


周り、うるせぇよ…


俺が睨むと、さらに黄色い声が増した気がした。



「なになに、成弥君?
アップ抜けだしちゃって」

「殴りてぇ…」

「え?
聞こえなかった、なに?」



恭平…

調子に乗りやがって…


まじ殴りてぇ…



「おい、陽菜」

「へっ?
私ですか!?」

「お前は帰れ」

「…やだよ」



はぁ?


陽菜いると調子狂うんだよ…

拓哉、いや…

俺が。



「今すぐ帰れ!!」

「やだもんっ!!」

「ジャマなんだよ」

「ジャマしに来たんだもん!!」



…あ゙?

今、何て言った、コイツ。


“ジャマしに来た”?


……上等じゃねぇか。


かわいくがんばれも言えねぇ奴が…



帰ったら覚えてろ!!

容赦しねぇ!!



のこのこと恭平について来…

は?


まだ懲りてねぇのかよ…



呆れと怒りの混じったため息をついて、俺はアップに戻ろうとした。



,
< 104 / 175 >

この作品をシェア

pagetop