王子様の秘密-上-
私が返事に困っていると、それを見透かした椿谷君が代わりに口を開いた。
「僕達、実は親同士が仲良くてね。
たまに、一緒に外食するんだよね?」
「う、うんっ
栞には今まで言わなかったけど…」
そうなの?と、怪しい眼差しを向ける栞。
「ごめん…僕のせいで」
「え、椿谷君!?」
隣で、しゅんと肩を落とす椿谷君。
何が起こったの!?
「僕が彼女に、学校では互いに黙ってるようにしようって言ったんだ。
実質、親が仲良いってだけだから…
桜木さんの私生活ジャマしたくなかったし…」
あ、そういうことか…
「あ、そうなんだ…」
「ごめんね、栞」
「ううん、大丈夫だよ!!」
なんで隠してきたのに、今になってばらしたのか…
誰もそんな疑問を口に出しはしなかった。
すまなそうにする椿谷君の表情と、私のプライバシーを守ろうとした紳士的な行動が、周りの女の子達を更に惚れさせるだけだった。
なんて優しいの、と…
私もそう思っていた…
いや、ずっとそう思っていたかった。
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