王子様の秘密-上-
「帰ろう」
「え?
成弥終わるの待たないの?」
「うん」
試合が終わるなり、すぐさま席を立つ恭平君。
冷たくない…?
試合は廉君が言った通り、負けるわけがなく、大差で勝った。
「陽菜ちゃん」
「?」
「早く帰るよ」
「ま、帰らなくても出ないと」
なんで?
もう少しコートにいる人達に祝福しようよ?
そんなことを言う前に、恭平君に手を引っ張られた。
「いいから、出るよ」
有無を言わせぬ表情で…
私はただ頷いて、恭平君に引っ張られるまま、会場を後にした。
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