王子様の秘密-上-
「女は恐いからねぇ…」
手を引きながらぼやく恭平君。
「あっそうなんだ?
怖くてごめんね!!」
わざと嫌みっぽく言ってやった。
女たらしのくせに!!
女の子を悪く言うなんて、ひどい!!
そんな私の手を引く恭平に、たまたま通りかかった女の子が話かけた。
「あの~…」
「はい?」
「ちょっと教えて欲しいんですけど…
この近場の駅は…」
恭平君の私の手を握る手の力が弱くなった。
見ると、顔がにやけていた。
…やっぱりたらしじゃんっ!!
「良いよもう!!
私一人で成弥待つから!!」
「えっ陽菜ちゃん?」
「ダメだって…」
私は、恭平君の手を振りほどいた。
賢君と廉君が何か言っていたけど、無視して会場に向かって走り出した。
…バカだよね。
こんな勝手な選択しなかったら、成弥に迷惑かけなかったのに…
,