王子様の秘密-上-



「あの…」

「へ?
私、ですか?」

「そうです」



走って会場に入ろうとしたとき、3人組の女の子達に話かけられた。


急いでるんだけどなぁ…



「あっ、私ここの近くよく知らないので…
道なら他の人の方が…」

「そうじゃなくてね」

「え?違う?」



だったら、何だろう…


考えていると、イラついたのか、笑顔だけど低い声で聞かれた。



「あの人…
“成弥”君って人のこと知りたいんだけど」

「へ?
成弥…ですか?」

「そぉそぉ♪
ねー、あなたも見ないけど…
どこの学校なの?」

「名字は?」

「仲良くなりたいから、会わせてくれない?」



ゔ…

しつこい…


私は恭平君達の言った“めんどくさい”の意味がようやく分かった。



「あっ、あの子~!!」

「ねぇっ!
私達も聞きたいんだけどぉ~」



どんどん増えてくる女の子達…



「ご、ごめんなさいっ!!
急いでるんで…っ」

「え?何それ~」

「答えればいいだけじゃん!
それとも、私達に教えたくないわけ?」

「まさか、あなた彼女?」

「違…」

「じゃあ良いじゃん。
教えてって言ってるでしょ!?」



ゔ…恐い…っ


恭平君の言った“恐い”の意味も分かった。



いやだいやだ…

誰か助けてよー…



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