王子様の秘密-上-
…じゃなくて!!
「なんで?」
「映画」
いやいやいや!!
“なんで?”の答えになってません!!
「見たかったんじゃねぇの?」
「あ、そうですけど…」
え?
もしかして…
私のため?
「成弥寝たかっただけだよね~」
…じゃなかったのね…
「うんうん。
こんなベタな恋愛映画趣味じゃないでしょ?」
「うっせぇよ、双子」
なんか…
私の見たかった映画なんだけど!
けなされてるよね…?
さらに、映画館は指定席で…
カップルデーでは、いわゆるカップル席があって…
そのおかげ(?)で、私達は近くの席に座ることができた。
けど…
一人の恭平君だけ、離れた席に一人ぽつんと…
「恭平笑える~」
「きゃ~賢っ
廉、睨まれちゃったぁ」
「おい、双子!
寝れねぇだろうが!!」
…成弥君?
本当に寝るためだけに来たのね…
私は嬉しかったのが、一瞬にして、呆れに変わった。
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