王子様の秘密-上-
バンッ
「兄貴!!
なに人の過去話してんだよ!?」
「成弥!?」
「なんだ、聞いてたんだ」
勢い良く開かれたドアには、かなり怒っている成弥の姿があった。
「盗み聞きなんて趣味悪いね」
「聞こえてきたんだよ!!」
「まっ、陽菜ちゃん。
今日の勉強は明日に回して…」
「え?」
笑顔のままの大介さん。
「今日は自主学習と言うことで…
はいっ!みんな解散!」
「へ…?」
「成弥も帰った帰った」
「おいっ!
これ以上、陽菜に変なこと言うなよ!?」
「…じゃあ、自分で教えたらいいじゃん?
お前の過去♪
知りたいでしょ、陽菜ちゃん?」
「えっ…………」
知りたいか、知りたくないかって聞かれたら…
「…知りたい。
でも、成弥が秘密にしたいなら、それはそのままにしておきたい」
「…別に構わねぇよ。
隠したくて黙ってたわけじゃねぇし」
「成弥…?
でも、やっぱり聞きたくない!」
「はあ?」
自分から聞いちゃいけない気がしたんだ。
まだ聞いちゃダメ。
成弥がいつか自分から話そうとしてくれる日が来るかさえ分からないけど…
まだ今はダメな気がしたんだ。
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