王子様の秘密-上-
第10話


****


「………で?」

「え?」

「何があったわけよ?」

「な、何って…なに?」



月曜日の昼休み。

栞が苛立ったようにため息をついた。



「また増えてる」

「えっ!?」

「ため息」

「陽菜がため息すると、私にも移るんだけど~…」

「あ、ごめっ…」

「幸せ逃げるよ?」

「う、ん…」



“幸せ”かぁ…

私の幸せって何だろう…


ぼーっとしながら廊下に視線を移すと、賢君が歩いていた。



「あっ…賢君!」

「ん?
陽菜ちゃん?」

「こら、陽菜!
逃げないでよ!」



栞の怒った声を聞き流し、私は賢君に手を振った。



「陽菜ちゃん、3組だったんだね」

「うん!
賢君は?」

「1組だよ」



そういえば…

賢君と廉君は、どっちがお兄ちゃんなんだろう…


賢君お兄ちゃんっぽいな…

いつも廉君の前に話すし…



「なに?
なんかついてた?」

「あっ、ううん!
なんでもないよ!」



そう言いつつも、自分の頬をこする賢君。


…この双子、見てると和むなぁ。



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