王子様の秘密-上-



「あっ、映画ありがとねっ」

「い~え。
でもそれ言うなら成弥に言ってやって」

「え?成弥?」

「うん。
成弥が急に待ち合わせ映画館とか言うからさ」

「…そうなんだぁ」



朝、私が言ってたこと…

覚えてたのかな…?


いや!成弥だもん!

やっぱり寝たいだけだったんだよ!


うん!それで納得!



「あのさ…
私の存在忘れてない?」

「え?
…あ、栞っ!?」

「なに?
私は初めからいたけど?」

「ごめんなさ~い…」



すっかり栞を放置してしまった。

栞はさっき以上にお怒り気味。



「じゃ、俺行くね。
廉が待ってるから」

「あっうん!」



バイバイ、と手を振った。


やっぱり賢君はお兄ちゃんだと思う。



「だ~か~らぁ~!
陽菜ってば!!」

「ひゃーひほりぃっ
ほめんなはいぃ~!!」



私は、怒った栞に頬を引っ張られた。



,
< 133 / 175 >

この作品をシェア

pagetop