王子様の秘密-上-
「あっ、映画ありがとねっ」
「い~え。
でもそれ言うなら成弥に言ってやって」
「え?成弥?」
「うん。
成弥が急に待ち合わせ映画館とか言うからさ」
「…そうなんだぁ」
朝、私が言ってたこと…
覚えてたのかな…?
いや!成弥だもん!
やっぱり寝たいだけだったんだよ!
うん!それで納得!
「あのさ…
私の存在忘れてない?」
「え?
…あ、栞っ!?」
「なに?
私は初めからいたけど?」
「ごめんなさ~い…」
すっかり栞を放置してしまった。
栞はさっき以上にお怒り気味。
「じゃ、俺行くね。
廉が待ってるから」
「あっうん!」
バイバイ、と手を振った。
やっぱり賢君はお兄ちゃんだと思う。
「だ~か~らぁ~!
陽菜ってば!!」
「ひゃーひほりぃっ
ほめんなはいぃ~!!」
私は、怒った栞に頬を引っ張られた。
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