王子様の秘密-上-
「全部吐きなさい♪」
「…分かりました」
私は土日にあったことを栞に話した。
バスケのことも、映画のことも、大介さんの家庭教師のことも…
でも、成弥の過去については触れないでおいた。
「ふむふむ。
とりあえず、お疲れ様」
「お疲れ様でした」
「頑張った褒美に、ポッキーを与えよう♪」
「わぁい♪
…って、違う~!!」
自分で違うと言いつつも、栞からもらったポッキーはしっかり口の中。
甘いチョコレートの味が口に広がった。
「はぁー」
「こら!
またため息!」
「だってぇ…」
「なに?」
机に伏せて、そのまま廊下を見た。
「…恋したいんだもん」
このポッキーのチョコレートのように…
甘くて…
溶けちゃうような…
“恋”がしたいー…
独り言のように呟いた。
視線は廊下のままで。
廊下を通る女の子は、彼氏らしき男の子と一緒にいて…
楽しそうに笑い合っていた。
「いいなぁー…」
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