王子様の秘密-上-



「はぁ!?」

「栞…ちょっと静かに…」

「あんた椿谷が好きなんじゃなかったの!?」



椿谷…?

成弥?



「…やだよ」

「は?」

「私が好きだったのは、あくまで理想を演じてた上辺の“椿谷君”だもん」

「あ、ちょっ…陽菜?」

「本当の成弥は意地悪で変態で、本当に最低な奴…
あんな奴好きじゃないも…」



ゴツ


何かが私の頭に勢いよく落ちてきた。



「~っ!!」

「あ、ごめんね?
…なんだ、桜木さんか」

「な…っななな!!?」



な、なんで!?


声からでも分かるけど…

私が顔を上げると、不機嫌なオーラ満載の成弥がいた。


あくまでも“椿谷君”の成弥は、笑顔のままだった。



「本当ごめんね。
手が滑ったみたいで…
大丈夫?」



こんの成弥め~っ!!

絶対わざとだ!!



「うん、全っ然大丈夫だよ?」

「そう?
それなら良かった」

「うん!
これからは気をつけてね、“椿谷君”!!」

「そうだね、桜木さん」



くっそ~!!

むかつく~!!


“成弥”を知らない私だったら、こんなことでも跳んで喜んだろうに…

バっカみたい!!


こんな奴に惚れてたなんて…!!



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