王子様の秘密-上-

｢どうしたの、成弥君？｣

｢え？
あ…別に、何でもないよ｣



俺は、隣を歩く神崎に向かって微笑んだ。

それを見て、笑い返す神崎。



｢そっか。
なんか真剣な顔だったから、びっくりしちゃった♪｣

｢……………｣



勝手に驚いてろよ…

この女、苦手だ…



｢成弥君？｣

｢…え？
あ、ごめん｣

｢いいよっ
なんだか成弥君らしくない～｣



俺らしさ？

お前が俺の何を知ってんだよ…

何も知らないくせに…っ



｢ねぇ、成弥君｣

｢うん？｣



神崎に“成弥”って呼ばれるのも嫌になる。

女の甘ったるい声で名前を呼ばれるのが嫌いだ。



｢桜木さんと仲良いの？｣

｢……は？｣

｢成弥君…？｣



やべっ

つい本性を出しかけてしまった…


俺は急いで笑顔を作った。

偽りの顔を…



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