王子様の秘密-上-



ガラッ


「成弥も恭平もいたんだ?」

「いたんだ?」



賢のリピートすんなよ、廉。


自習室に顔を覗かせたのは、あの双子。



「つか、この時間に来るって…
みんなさぼり?」

「まぁな」

「「そうですとも~」」



リピートもうるせぇが、被られるのもイラッとくる。


まぁ、無視だ、無視。



「なぁ」

「ん?」

「…自分に陽菜の悪口言われたら、どう思う?」

「……はぁ?」



だよな。

やっぱ、そうだよな。


聞くんじゃなかった。



「言われたの?」

「…あぁ」

「なんて?」

「裏ではすごい事してる、俺は騙されてるんだってー…」



騙されてるのは、お前だよ、神崎。


あぁ、俺は何してんだ…?



「桜木ちゃん…
いい子だし、ひがみだよなぁ…」

「まさか、成弥っ」

「“そうなんだ”とか言って…」

「言うわけねぇよ!!」



何でそうなる!!


きっと…

俺は神崎より、陽菜を知っている。



誕生日も好きな物だって知らねぇけど…

アイツのいろんな表情とか、すぐに文句言うけど、実は照れ隠しだったりするところも…


少なくとも、俺は知っているつもりだ。



,
< 141 / 175 >

この作品をシェア

pagetop