王子様の秘密-上-
ドサッ
「…何やってるの、あんた達」
物が落ちる音と、力の抜けたような美沙子さんの声が後ろから聞こえた。
このときには、もう成弥の唇は離れていた。
一瞬にして、視界が白くなった気がした。
「付き合ってた、の?」
「違ぇよ」
美沙子さんの質問に、特に動揺もせず、冷静に答える成弥の声。
成弥は、そっと私を離した。
「…恵理子さんになんて言ったら良いのかしら…っ」
「言わなくていいだろ」
「あんたみたいなやらしい息子のせいよ!!
陽菜ちゃん、大丈夫だった!?」
「あっ…私は…」
何が起きているのか、把握するのに時間がかかった。
夢のようで…
これが現実だと思いたくなかった…
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