王子様の秘密-上-
「あっ、陽菜ちゃん」
「美沙子さん」
…と、誰?
リビングに戻ると、ソファーに座っていた美沙子さんが振り向いた。
隣に誰かがいる。
見覚えのある後ろ姿…
もしかして…
「陽菜っ」
「お母さん!?」
どうして…?
なんで!?
「出張早めに終わらせて来たの♪
美沙子さん、ごめんなさいね。
陽菜が迷惑かけちゃって…」
「いえいえ~
陽菜ちゃんいてくれて、主人も喜んでました♪
お礼を言いたいのは、私の方よ」
待ってよ…
話分からないよ…
「陽菜」
リビングの入り口で、止まったままの私に、お母さんが言った。
「今日からうちに帰るのよ」
「え……?」
なに…?
なんて?
“うちに帰る”?
「優太もすっかりなついちゃって…
“陽菜姉さん”なんて呼んでたのよ~」
「あの優太君が?
陽菜、良かったわねぇ~」
私…まだ何も言ってない…
「いつ…いつ帰るの?」
「何言ってるの。
人様の家にこれ以上迷惑かけられないでしょ?
陽菜の準備さえ出来たら…」
嘘…
こんなの嘘だよ…!!
,