王子様の秘密-上-



いいもん!!

成弥なんか…

成弥なんか…!!


こんな最低な人、大っ嫌いだ!!





「美沙子さんっ、私に手伝えることありますか?」



私は、かわいそうだけど放心状態気味の優太君と、まだ笑っている成弥を置いて…

美沙子さんの後を追って、キッチンに入った。



「あっ…」

「君が桜木 陽菜ちゃんだね?
初めまして、成弥や優太の父の慎吾です。
これからよろしくね」

「さ、桜木 陽菜です!
こちらこそ、よろしくお願いします!」



まさか…

リビングの隣の部屋…キッチンに、成弥のお父さんがいたなんて…!!


あぁ、さっきの失礼だったかな…


肩を落としていると、美沙子さんと慎吾さんの会話が聞こえた。



「ね?
かわいい子でしょ?
私、嬉しくて…料理張り切っちゃった♪」

「あぁ、こんなかわいい子は、成弥達が放っておけないわけだ」

「私…そんな、かわいくないです」

「何言ってるの?
陽菜ちゃんはかわいいわよ♪
ねぇ、成弥?」



え?成弥?


訳が分からずにいると、すぐ真後ろから声がした。



「知らねぇって」

「わ!?びっくりした…
成弥、後ろいたなら言ってよ!!」

「別にどこいたって良いだろ」



そりゃ、そうですけど…

いきなり後ろにいられると、それはそれで困るって言うか、驚くんです!!



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