王子様の秘密-上-
「お茶取って」
「自分で取りなさいよ」
と、言いつつも、近くの冷蔵庫からお茶のペットボトルを取り出して渡す美沙子さん。
お茶をもらっても、私の後ろにいる…って言うか、後ろでお茶を飲んでいやがる。
「もうお母さんったら、びっくりしちゃった!
成弥が陽菜ちゃんをかまってばっかりなんだもの」
「あぁ、父さんも驚いた。
まさか、帰るなり息子が陽菜ちゃんにあんな話するなんてな…」
嘘!?聞こえてた!?
恥ずかしいっ!!
「ぶっ」
「きゃっ!!」
「「成弥!!」」
「…あ、悪い」
…なんて最悪な日なのでしょう。
後ろにいた成弥が飲んでいたお茶を吹き出したため、そのお茶が私に見事にかかった。
これが、成弥のファン…
いや、以前の私だったら怒りなんてなかったと思う。
むしろ、喜んだのかも知れない…
でも、確実に今は違う。
「最低成弥!
どうしてくれるのよ!」
「だから、悪いって…」
「許さない!」
私…いまだ制服を着たままだった。
ま、成弥も制服だったんだけど…
明日も平日だってば!!
普通に制服必要なのに!!
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