王子様の秘密-上-



「うるせーなぁ…
なんだよ、陽菜…って、は?兄貴?」

「な、なる…みぃ…」

「おい!兄貴!
陽菜に何してんだよ!」

「…ん?成弥?
え?あっごめ…」



私に気付いた成弥のお兄さんは、慌てて私を放してくれた。


助かっ…た…



「大丈夫か?」

「グスッ…成弥ぃ…」



成弥が、私とお兄さんの間に入ってくれて、私は安心したためか涙が溢れた。



「兄貴!!
陽菜のこと、言われてただろ?」

「陽菜ちゃん…?
あ、陽菜ちゃん!!」



お兄さんは、思い出したかのように私の名前を口にした。

成弥の陰から顔を覗かせて、すまなそうに謝られた。



「陽菜ちゃん、ごめんね…」

「もう…いいです…」

「早く部屋から出てけよ」

「はいはい。
陽菜ちゃんほんとに…」

「早くしろ!」

「…分かったよ」



最後に、ごめん、と言ってお兄さんは部屋を出て行った。



「大丈夫か?」

「う、ん…」

「あっそ。
じゃあ、俺も部屋戻るから。
また何かあったら呼べよ?」

「うんっ
ありがとう!」

「……………」



あれ?

私おかしいこと言った?


成弥は何も言わずに部屋を出て行った。




……………あ゙


私、服に迷ってたままで…



最悪すぎる!!!



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