王子様の秘密-上-



兄貴が、俺からずれて、陽菜に謝った。

…が、コイツは陽菜が見たかっただけにしか見えねぇよ。



「陽菜ちゃん、ごめんね…」

「もう…いいです…」



陽菜は、兄貴が反省してると思ったらしく、俺はそれならそれで良いと思った。

ただ、いつまでもジロジロ陽菜を見てる兄貴が気に入らなくて、早く部屋から追い出してやりたかった。



「早く部屋から出てけよ」

「はいはい。
陽菜ちゃんほんとに…」

「早くしろ!」



俺の声に、諦めたかのように返事する。



「…分かったよ」



そして、部屋を出て行った。



「大丈夫か?」



後ろを振り向かないで聞いた。



「う、ん…」

「あっそ。
じゃあ、俺も部屋戻るから。
また何かあったら呼べよ?」



俺だって、男だ…

理性ってもんがある。



「うんっ
ありがとう!」



最後に陽菜を見ると、あいつは笑ってお礼を言った。


おい、それは反則だろ…?

お前、まだ涙出てんだろ…

これ以上は俺も無理だ。



「……………」



俺は無言で陽菜の部屋を出た。



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