王子様の秘密-上-



「冗談に決まってるよねー、陽菜ちゃん?」

「え、はいっ
そうだよ、成弥、冗談に決まってるでしょ」

「冗談通じない奴」

「成弥、謝ったら?」

「…もういい。
勝手に抱かれてろ、バカ」

「ばっバカ!?
ちょっと、成弥!!」



なんなのよーっ!

昨日のまだ根に持ってんの!?


そのあと成弥は、すぐに家を出て行ってしまった。


ちょっと待ってよ!

私、行き方知らないんだってば!


急いで成弥の後を追った。



「成弥っ!!」

「……………」

「成弥!!
…きゃっ!?」

「………陽菜?」



振り返った成弥の目に映ったのは、地面に転んでいる情けない私の姿。


…恥ずかしい!



「…何してんの?」

「私っ
こっちから学校までの行き方知らないの!」

「あ、だっけ?」

「だよ!
帰りに一度通っただけじゃ、覚えられないよ!」

「…どうしたい?」

「へ?」

「俺と一緒に行ったら、周りの目、大変なんじゃねぇの?
それとも、他人のフリしてついてくる?」

「私、こっちから通ってないし…
他人のフリじゃ、ストーカーじゃん…」

「前者?」

「う……」



どっちもどっちだ…


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