王子様の秘密-上-
「ああ、言うよ言うよ。
全部話す。
陽菜、どうなっても知らないからな?」
「……………」
「その前に学校行くぞ」
だるそうに歩き始めた成弥の後ろを、恭平君と並んで歩いて行った。
「道、覚えたか?」
「……………」
「陽菜!!」
「ごめんなさいぃっ」
学校に近付くにつれて、同じ制服を着た人が増えてきた。
それに比例して、“成弥”が“椿谷君”になっていく。
…なんかすっごく居心地悪い。
「椿谷君おはよー」
「おはよう」
「椿谷、英語やった?」
「あぁ。
よかったら、あとで見せるよ」
「さんきゅー」
「椿谷君」
「椿谷」
……
「っだあああー!!」
「なっ桜木ちゃん!?
どうした!?お腹痛いの!?」
急に大声を出した私を心配そうに聞いてくる恭平君。
恭平君はよく耐えられるよね…
あ、そっか。
長年の友達らしいし、慣れてるのかな…?
「…何でもない、です」
「そうなの?
何かあったら言ってね?」
「うん、ありがとう」
次々と飛び掛かる挨拶に返事をする優等生…椿谷君。
気付けば、私達の先を歩いていて、距離ができていた。
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