王子様の秘密-上-





「はぁ…」

「陽菜、どうしたのさ?
朝からずっとため息ばっかりじゃん」

「うん…」



やっと放課後になった。

私が机に顔を伏していると、栞に頭をポンポンと叩かれ、慰められた。



「…帰りたくないや」

「は?
なに、お母さんと喧嘩でもしたの?」

「…ううん」

「何だそれ」



あぁ、そっか。

栞は知らないんだよね。


昨日一日が長かったなぁ…

休日並みだよね…


朝も…



「あーっ!!」

「うわっびっくりした!」



思い出したくないこと思い出した!!



「…陽菜、どうしたの?
顔赤いよー?」

「なっ何でもない!」

「そーお?」



意味ありげに笑う栞。


何か見つけたのかな…?


振り返ろうとしたときに、その栞の笑みの意味が分かった。



「桜木ちゃーん!」



恭平君の声がしたんだ。



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