王子様の秘密-上-



恭平君がいるってことは…

やっぱり、ね…



「良かったじゃん、陽菜♪
ため息が止まるんじゃない?」



栞は分かっていないよ…


私はさらに大きなため息をついて、恭平君に遠慮がちに手を振った。



「桜木ちゃん、一緒に帰ろ~♪」

「え…」

「あ、やっぱり用事あった?」

「あの…」



笑顔で教室に入って来る恭平君。

成弥は廊下で誰かと楽しそうに話していた。



「ちょっと、陽菜!」

「なに?」



小声で栞に聞かれて、私も小声で返事してしまう。



「なんで高峰 恭平なわけ?」

「…うん?」

「なんで知り合いなの?
てか、馴れ馴れしすぎでしょ」

「えーっと…友達なの、かな?
友達思いの良い人だよ?」



はぁー、と栞は頭を押さえて、ため息をついた。



「高峰はダメだよ!
アイツの良い噂聞いたことない」

「でも…
友達なら、良いでしょ…?」

「…あーもう、陽菜のかわいさには負けるわ。
友達までだからね?
陽菜には…」

「お取り込み中悪いんだけど…
俺達どうしたらいい?」



恭平君の声で、顔を上げた。


“俺達”って…


恭平君の隣には、成弥がいた。


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