王子様の秘密-上-



「……………」

「……………」



沈黙。

これほど気まずいものはあるだろうか…?



「やっといなくなったか」

「へ…?」

「恭平…アイツに本当のこと言うのか?」

「あ…そっか。
まだ話してないよね」



…あれ?

“やっといなくなった”って…

もしかして…



「栞が恭平君連れていくって知ってて誘ったでしょ?」

「さぁ?」



目の前にある自分の紅茶を飲んでから成弥は言った。



「俺らも帰ろ。
学校の奴らいるし、ここじゃ、あんまり話せないだろ」

「うん…」



レジに行って会計するとき、成弥は一人で全員分払おうとしていた。



「私出すから、払わなくていいよ!」

「別に。
明日恭平から徴収するからいい」

「じゃあ、せめて、私と栞の分だけでも…」

「分かった、陽菜の分だけ払って。
深川には気を遣わせたし、俺が出すの当然だから」



結局…

私は自分の分しか払わずにファミレスを出た。



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