王子様の秘密-上-



「…陽菜!!」

「はいっ!?」



怒り気味の成弥に急に名前を呼ばれたので、声が裏返りそうになった。

成弥を前にして、あの3人はクスクス笑っている。



「ほんとに、こんな奴らに言うのか?」

「こんな奴とは何だよ!」

「俺達も友達だよ!」

「成弥の友達じゃなかったとしても、桜木ちゃんの友達である!」

「……………」



無言の成弥が怖い…

きっと、みんな思ったこと。



「分かったよ」



成弥が口を開いた頃には、5時限目の予鈴が鳴ったとこだった。



「なっ成弥、授業は?」

「…さぼるに決まってんだろ。
飯食ってねぇし」

「…じゃあ、私もさぼる」

「はっ!?」



私の言葉を聞いて、成弥が再び怒りそうになった。



「私もさぼるって言ったの!!」

「駄目だ」

「嫌だ!!」

「恵理子さんにチクるぞ?」

「いいもん!
私だって美沙子さんに言うから!
成弥が悪口言うし、変態なことする~って!
言っちゃうからね!」

「…成弥君?
桜木ちゃんに変態なこととは?
前も聞いたけど、綺麗に反らされたもんだな」



笑いながら言う恭平君は、私に向かって頷く。



「よし!
みんなでさぼろうじゃないか!」

「…お前ら、まとめてバカか」



小さく言った成弥の声が、賢君と廉君の笑い声に消されていた。



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