王子様の秘密-上-



「…あのさ」

「?」

「そろそろ出て来たら?
いつまでそこいるつもりだよ、深川」



え?

深川?

栞!?


みんなが、成弥の視線の先…自習室のドアの方を見た。

すると、罰の悪そうな顔をした栞がドアの陰から出てきた。



「栞っ!」

「…ごめんなさい。
その、盗み聞きとかするつもりじゃなくて…
ただ、陽菜の様子が心配だったからついて来ちゃって…
ほんとにごめんなさいっ!!」

「栞…」



謝るのは、私の方だよ…

隠し事してて…

栞をそこまで心配させちゃったんだから…



「あー…
深川、ちょっと陽菜を頼む」

「へ?
わぁっ!?」



成弥に背中を押され、出て来た栞に支えられた。



「ごめんっ陽菜…」

「栞ぃ…
私の方こそ…グスッ…ごめん…」

「もう、陽菜泣かないでよ~
私、陽菜にぃ…」

「栞ぃ~…」



互いに謝りながら、私達は泣き合った。

成弥達は、何もしないで、ただ黙って見守ってくれていた。


涙を流したからか、泣き止んだ頃には、すっかり笑顔に戻っていた。



「…うわ、不細工だな、お前」

「しっ失礼な!」

「良かったな、亘理達にその不細工な泣き顔見られなくて」

「~っ成弥のバカ!!
最低、最低、最低っ!!」

「最低で結構」



成弥は相変わらず、憎まれ口を叩いていた。



「…だけど、意外だったなぁ」

「?」



栞が、そんな私と成弥を見て、しみじみと言った。



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