王子様の秘密-上-
第2話


ついに迎えてしまった火曜日…


朝から憂鬱!!

いや、椿谷君と近付けるのは嬉しいんだけど…

こういうお近づきってのは、どうなのかと…



重い足取りのまま教室に向かって歩いていると、私の名前を呼ぶ声がした。



「桜木さん」

「はい?」



誰かと思って振り向いた先にいたのは…

まさかの椿谷君!!



「うそ、椿谷君…っ!!」



きっと初対面。

初会話。

嬉しすぎて心臓がバクバクする。



「ちょっと良い、かな?」

「あ、はいっ」



手招きをされて、近くの人気のない教室に入った私達。


きょ…距離が近いよ~っ!!


鼓動は速くなるばかり…



「桜木さん、話聞いたよね?」

「あ、はいっ
お邪魔しちゃってすみません!!」

「あー、いえいえ。
女の子が来るって聞いて、母も喜んでるし、男勝りな家だけど、よろしくね?」

「はいっ!!」



素敵な笑顔でにこっと微笑む椿谷君。


まさか…

この顔が表だけの顔だったなんて、私は知りたくなかった。



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