王子様の秘密-上-



「なぁ、陽菜?」

「……………」



少し潤んだ瞳は、俺を捉えていた。



「………んんっ!?」



俺は、眠そうな陽菜の鼻をつまんでやった。


さすがにこれ以上は、な…?



「何する…え?あれ?成弥?」

「…ごめんな」

「へ?なにが?
あっ、私を巻き込んだこと?」



謝った俺を不思議そうに見ていた陽菜。

私、寝ちゃってたんだぁ…なんて、ぶつぶつと陽菜は言っていた。



「あのさ…」

「へぇ?」

「手、痛ぇ…」

「…え、手?
あぁ、あれ!?
ごめんっ!!」



珍しい…

バカ、とか言わねぇんだ?


すぐに俺から離れようとした陽菜は…


あぁ、そうなるのか…



「きゃあっ!?」



ドサッ



「…陽菜」

「ゔ…痛い…」

「だろうな」

「うー…
私、何で…あっそうだ!!」



ゴツッ



「…っ!」

「痛っ!」



お前はやっぱりバカなんだな…


ベッドから落ちた陽菜を心配して上から覗き込んだ俺に…

陽菜は頭突きしてきた。


俺達は互いに痛がった。



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