王子様の秘密-上-



「…行かなくて良いじゃん」

「は…はい?」

「…行くなよ」



ひ、ひええぇぇぇ!!


成弥が真顔で私を見つめて言うから…

鼓動は高鳴るばかりで…



「ひな…」

「………な、成弥っ」



なんか…

なんか!!

成弥が甘いよ!?

私、成弥に囁かれているよ!?



「なっ成弥、まだ寝ぼけてるの?」

「そうかもな…」



やめてやめてやめて!!

そんな顔で囁かないで!!



「なぁ、陽菜…」

「なっなに!?」



私の心臓は、ドキドキうるさい…



「なんか…」

「え?」



な、な、な、なに!?



「どうにかしちまいてぇ…」

「っ!?」



え!?

ちょっ、嘘っ!?

えええぇぇ!!!?



「や、やだなぁ…
成弥ってば?」

「…お前見てると疲れる」

「はい?」



やっぱり喧嘩売ってるんですか!?

私のドキドキ返せっ、このっ変態バカ!!



「だから…」

「なっ、何よ?」

「俺だけのものになれよ」

「……は?」



まだ寝ぼけちゃってるの!?

ドキドキ…うるさい!!

どうせ、またからかわれて…



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