王子様の秘密-上-



あーあ、すっかり映画見に行く気が失せちゃった…

夕方には大介さんから勉強教えてもらうし、それまで何しよ…

今日は一番帰りが早い優太君でさえ、3時まで部活だし…



あー…嫌になるぅ…



「…成弥のバぁーカ!!」



ソファーに転がった私の視界には、普通ならば天井が…



「あぁ、バカで悪かったな」

「……っ!!?」



な、なんで!?

さっきリビング出てったんじゃ…


って、あれ?


視界には不機嫌に成弥の整った顔のドアップがあって…



「なんで、ジャージ…?」

「バスケ」

「ふぅ~ん…え?バスケ?」

「そ、バスケ」



待って!

話分からない!


成弥がバスケ?

部活?

サッカーは?

いつから?



「…いつまで寝てんの?
俺、もう行くから」

「あ…分かりました…?」

「なんで疑問形?」

「さ、さぁ?」

「ふーん」



私がソファーから起き上がったときには…

成弥は隣のキッチンにいて、冷蔵庫を開けていた。


ハーフ丈から覗いた細い足は、ちゃんと筋肉がついていた。


…ちゃんと鍛えちゃって…


朝の成弥の胸板を思い出して、顔が熱くなった。


私のバカっ!

なに思い出しちゃって…



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