王子様の秘密-上-
…うーん、ひま。
成弥が出てってから、1時間は経ったと思う。
ピンポーン…
玄関のチャイムが鳴った。
…へ?
宅配便かな?
「桜木ちゃーん」
あっ、この声…っ!
「…恭平君?」
「当ったりー♪
今から遊びに行かない?」
玄関のドア越しに聞こえる恭平君の声。
元気だなぁ…
この前は“噂”のことで、恭平君に失礼なことを言ってしまった。
あのあと謝ったけれど、恭平君は笑っていた。
“俺がたらしだから仕方ないよ。自業自得”
笑って言ってたけど…
“桜木ちゃんには変なことしないし!
周りに女の子は足りてるから大丈夫!”
なんてひどいこと言って、栞に“最低!”って言われてたっけ…
「あの…桜木ちゃん…?」
「えっ!?
あぁ、ごめんなさいっ
今すぐ開けるから!!」
私は恭平君の声で自分の回想から戻り、玄関のドアを開けた。
,