お前、自分が何言ってるのか分かってるの?【BL】
誰もいない家に二人きり。


さっきまで、視線を下に落としていた逞の瞳は

今、俺の瞳をしっかりと捕らえて逃がさない。


暑いのと、緊張しているからなのか、さっきよりも妙に汗ばむ。

多分、Tシャツは汗で濡れてるだろう。


「嫌だったら逃げろよ。」

そう言って、逞はゆっくりと顔を近づけてくる。

俺は、逞の瞳にしっかりと捕まっていて、逃げる事が出来なかった。


だんだんと近づいてきて……

お互いの汗の匂いが分かるまでに近づいて

普通なら、自分の汗の匂いだって嫌なのに、他人の汗の匂いなんて絶対に無理って思うのに……

逞の香水と体臭が合わさった匂いに、俺はクラクラしていた。

一応言っておくが、俺は変態ではない。


さっきまで近くの公園で遊んでいた子供達も、この暑さで家に帰ったのだろう。

蝉の鳴き声だけが響きわたる中

俺と逞の唇が触れた。


その瞬間、全身が心臓になったみたいに、苦しかった。


食後に食べた、イチゴのかき氷の味がした。
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