お前、自分が何言ってるのか分かってるの?【BL】
少し休んで、逞がキッチンからケーキを運んでくる。


電気を消して

真っ暗闇の中

ケーキにさしたロウソクの火が、キラキラと光っている。


「ハッピーバースデートューユー♪ハッピーバースデートューユー♪HappyBirthday智。ハッピーバースデートューユー!」

音楽は昔から大の苦手で、人前で歌う事を嫌う逞が、俺のために音程を外しながらも歌ってくれた。


何だか、今までで一番嬉しい誕生日で、俺は目にいっぱいの涙を溜めていた。

そんな俺に気付いたのか、逞は俺を自分の胸元へ抱き寄せ

「ほら、早く火ぃ消せよ?」

と、言った。


俺は大きく頷いて

大きく息を吸い込んで

「ふぅー!!」

と、ロウソクの火を消した。


ロウソクの火で照らされていた部屋は

また、真っ暗になった。


電気つけなきゃ……

立ち上がろうとする俺を腕を、逞が引く。

バランスを崩した俺は、そのまま逞の所に倒れ込んだ。


目が暗闇に慣れ、うっすらだが、周りが見れるようになった。


逞と目が、あう。

「……」

「……」

互いに何も喋らず

少しの間の後

どちらかともなく

キスをした。

軽く触れるだけのキス。

何回も繰り返して

逞が、ケーキのチョコクリームを自分の口にふくみ、また俺にキスをする。

「……んっ!?」

突如口内に入れられた逞の舌が、俺の舌を捕らえて離さない。

口いっぱいにチョコクリームの甘さが広がって

「ん……ふ、ぁ……」

時々もれる、自分の声さえも

甘く響いてしまって……
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