僕と私で友達
「成海、お父さんとお母さんと妹は?」

「いなぃ…父さん…っ…帰ってごないんだもん…」

父さんが帰ってこないのが不安で、また泣いてしまった。

鈴は食べ終わったアイスの棒を外に投げ捨てた。

「アタシも兄ちゃん、帰って来ないんだ…いつもならもっと早く帰ってくるのに…」

鈴は、スポーツ大会の練習を休みたくない為に子ども会のキャンプに参加せず予備校に通う、お兄さんとここ何日か二人きりなんだとか。

熱いのは、ベランダに出れば夜風に当たれるが10歳の二人には広すぎるマンションの部屋。
暗闇の中、不安と恐怖が同居している。
田舎の母さんはきっと大パニックだろう。
お父さんの携帯の着信履歴は凄い事になっているはずだ。


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