だから、お願い
行為を終え、彼の寝息が一定になったことを確認すると
その腕からするりと抜け出し、鞄の中にある2つの携帯を取り出す。
一つはあたしに関わる人がみな知る携帯。
もう1つは、あたしだけが知る携帯。
電源を入れ、メールを問い合わせると
小さく震えるバイブ音とともに、五通のメールが受信された。
いつ起きるか分からない彼の横で一つ一つちゃんと確認する余裕もなく
とりあえず全てのメールに目を通すと、今日が日曜日だということを思い出した。
先頭にきていたメールの送り主。
健太と最後に会ったのは、もう二週間前のことで。
今日は隣に眠る彼、拓也と一緒にいるだろうことを考え
"次いつ会える?"というメールに
"明日、会いたい"
と、返事をした。