だから、お願い



拓也は、その力ある腕をあたしに降り下ろす度に、悲しげに呟く。



愛してる、愛してる、と。



確認するように何度も。

そしていつだって、あたしを強く抱き締めた。









どこの世界に、自ら暴力を請う女がいたというのだろう。



周りはきっと、それを知ればあたしを異常だと言うのだろう。



だけど、あたしは異常なまでに孤独で


そうすることでしか、安心できない。





初めてあたしに残った躊躇い傷を見たときの拓也の顔が


頭から離れない。




そしてそれさえもを、嬉しいと思うあたしは


きっとどこかが壊れていたのだとも思う。







寂しくて、寂しくて



涙が止まらない。





苦しくて、悲しくて



人の傷にさえ鈍感でいてしまう。





"愛してる"と言う拓也は、あたしに何も言ってはこない。



他に何人彼氏がいようと、他の誰に抱かれていようと



拓也は何も言わない。言えばあたしがどうなるかを分かっているかのように。




それがやっぱり寂しくて





きっと拓也も異常だったのだろう。あたしが、拓也を変えてしまったのだろう。




愛してる、と言うくせに、あたしを殺してまで他にいかせないということをしてくれない。




それが、寂しくて寂しくて




死にたくなる。




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