薔薇の棘と黒いかまきり【短編】
青年は日頃針金を持ち歩き、そこらへんの鍵ならいとも簡単に開けていた。
いったいどの部屋に魔女がいるのかわからないから、一つ一つ静かに部屋の鍵を開けて覗いていった。
四番目の部屋、五秒であく鍵が全くあかなかった。
青年はどうしても開かない鍵に焦っていると、ガチャっと静かに鍵があき、
「おいで」
女の声が聞こえた。
友人が止めるのも聞かず、冷や汗をかきながら青年は1人部屋に入っていった。
バタンと扉は閉まり鍵のかかる音が聞こえた。