薔薇の棘と黒いかまきり【短編】
しばらくしてから青年は魔女の居場所を突き止めた。
魔女の首を切り落とした。
それでも青年は元の姿に戻れない。
青年の困る姿をみて魔女は笑っていったのだ。
「この呪いは術者を殺しても解けやしない。愛する者の首を切って初めて解ける素敵な呪いなのさ」
そういい終えて魔女は息絶えた。
青年は絶望した。
そうして考えた。
愛する者を殺すくらいなら、元の姿に戻れなくていい。
誰も愛さなければいい。