薔薇の棘と黒いかまきり【短編】
腕輪をはめてかまきりに笑いかけると、かまきりも笑った気がした。
私は一昨年と去年のクリスマスは、思い出に浸って過ごした。
楽しかった頃。
兄さんくれたマフラーを巻いて雪だるまをつくったこともあった。
サンタクロースが毎年私にプレゼントを送ってくれた。
家族がいなくなるまで、私はサンタクロースはいると信じて疑わなかった。
去年と一昨年、サンタクロースは私のことを忘れていたのだろうか。
今になって現れるなんて。