薔薇の棘と黒いかまきり【短編】
かまきりの決意
笑顔で私を見つめる薔薇の姫。
私は不思議だった。
最初から私を受け入れてくれたことが。
「ね、かまきり。あなたどうしてここにたどり着いたの? どうして私のこと知ってたの?」
私は考えてみる。
「ある町で薔薇屋敷の噂をきいてね。気になったんだよ。薔薇の姫とよばれる娘のことも」
「そうね、あなた好奇心旺盛なんだものね」
「よくわかっているねぇ」
ふふと笑う彼女は美しかった。